日本語を学習中の皆さんへ。 千葉県東葛地区で外国人向けビジネス・在留サポートを行っている山口国際行政書士事務所の代表山口正路と申します。今回は、日本に来て学びそして就職を希望する皆さんが知っておくべき基礎事項についてお話をしたいと思います。 1.留学する前に必要な手続き 日本に入国する前に在留資格「留学」の申請をし、「在留資格認定証明書」をもって入国することが必要です。入学しようとする機関(日本語学校、専門学校、大学)から入学許可を得た上で上記「証明書」を入手し、在住する日本国大使館や領事館でビザを受給します。日本に到着し空港で入国審査を受ける際に「留学による在留許可」を申請してください。後日発行される「在留カード」は日本にいる間中、身分証明書として常時携帯が義務付けられています。 2.留学中に働く事はできますか? 原則「留学」目的滞在の場合、働く事は想定されていません。ただ「資格外活動申請」を行って許可を得ると、学期期間中は週28時間の範囲内でパートタイムの仕事をすることができます。この週28時間条件をきちっと守る事が重要です。違反はその後の不利を招きます。 3.卒業して日本で働きたい 日本の外国人向け就労目的の在留資格制度は少々複雑です。一番利用されている在留就労資格を紹介しましょう。なお日本の大企業は卒業の1年以上前から採用活動を始める所が多いので、在学中2~3年生の段階で大学のキャリアセンターなどで情報を集めて行動開始することを勧めます。 (1)技術・人文知識・国際業務(「技人国」) 専門学校や大学卒業後のホワイトカラー向けの在留資格です。専攻科目と結びついた職に就こうとする外国人卒業生を対象にしています。例えばエンジニア等技術系の職や、自国の文化や日本語能力を生かして貿易や企業内通訳として活躍したい人向けの資格になります。 (2)特定活動 学んだ科目と就職先の業種が一致していない場合は「特定活動46号」を申請する事になります。例えば経営学部を卒業した留学生が、パートタイムで働いたコンビニ店で卒業後も引き続き店長として働きたいと言った場合に申請することになります。 (3)特定技能 建設、介護、飲食業など指定14業種で働く場合、日本語テストと職種能力テストを受けて在留就労資格を得ます。大学や専門学校の卒業は条件となっていません。 上記(1)から(3)に共通して、採用企業側にもカテゴリーにより必要提出資料がありますので対応が可能か確かめましょう。 4.要求される日本語能力について 企業によって高い日本語能力を要求する所があります。また「技人国」や「特定活動46号」の申請許可要件として日本語試験の高いレベルでの合格を条件とする場合があります。日本政府機関の調査では日本語能力の高い場合は、給与も比較的高いという報告が出ています。日本で思い描いた通りの就職をする為には、日本語能力を高めて検定試験等に合格しておくことが条件となりますので、引き続き日本語学習に励んでください。 5.最後に 日本は持続的な経済成長が続く一方で労働人口が減少しており人手不足が深刻です。日本政府は若くて優秀な外国人留学生の皆さんができるだけ多く日本の企業に就職して経済の支えになってもらえることを希望しています。 一方就職のシステムや在留許可制度は皆さんの国とは違った独特のものがあります。日本で希望通りの就職をする為には、教育機関のキャリアセンターや時には行政書士などの専門家に相談することも大切です。
(この記事は向学新聞2020年1月号に寄稿したものです。)
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